M&Aドキュメント 事業売却

M&Aドキュメント 事業売却

M&Aドキュメント 事業売却

事業売却の流れを小説形式で書いた本。次の仕事ではビジネスモデル上、IPOM&Aのイグジット戦略が非常に重要になってくるので、実務的にどんなことが起きるのかを知るために読んでみた。
著者が弁護士の方なので、M&Aにまつわる法律や手続き、契約交渉に関してより詳しく書かれている。逆に会計的なことやデューディリジェンスで具体的に何をどのように調査するのかといったことは書かれていない。
話の筋が「ハゲタカ」を思わせるようなところもあって、この手の話が好きな人だったら面白く読み進めることができると思う。物語調なので話が頭に入ってきやすくて、全体の流れや、ポイントをつかむのにはとても良いテキストでした。
ビジネスって法律とか契約によって大きく縛られているので、ビジネスを追求するならば法律はざっとは勉強しておくべき領域なんだなというのを、この本読んで思った。。いろいろ勉強することが山盛りだな。

ネットイヤーグループを退職しました

このほど約4年ほど勤めたネットイヤーグループ株式会社を退職しました。正確には5/8までだけど。次の会社は既に決まっていて5月9日から。今回の転職は、やめるときに有給をたくさん使おうと思っていたけど結局数日ほどしか使えなかった。。
ネットイヤーグループには2007年6月に入社したので正確には3年11ヶ月の在籍でした。ネットイヤーグループの前に在籍した会社は、調布の20名程度のプロバイダー兼システム開発兼Web製作をやっている零細企業だったので、もっと大規模で、フローがある程度確立されていて、ナショナルクライアントを手がけられる環境でWebの受託を極めたいと言う思いでネットイヤーグループに転職したのを覚えています。
ネットイヤーグループの前の調布の会社の時は、地元の仕事を直受けで内製でこなしていたため、Web業界の知り合いも少なく、自分がどのぐらい出来るのかが良く分からなかったから、腕試ししてみたいと言うような気持ちも強かった。当時割とさくっと内定もらえたけれど、ネットイヤーグループで手がけてる仕事の10分の1以下の規模ばかりやっているような(しかも当時外注コントロールの経験さえもない)人間を良くとってくれたなという気がする。今考えるとIPOを目指していた時期で、景気がまあまあ良かったというのも実に運が良かった。今だったら、当時の自分のスペックだったら落とされて可能性もあると思う。
ただ実際はいってみたら、逆に小さいところで何でもやっていた経験が活きて、最初に手がけた案件で、プロジェクトマネージャー(自分)+IA+アートディレクターという社内の体制のはずが、一人プロジェクトになってしまったのだけど、IAワークを自分でやったり、デザイン周りは極力省力化させるとか、死に物狂いな感じでやってみたら割りとすんなり廻すことが出来た。
ネットイヤーグループで自分が配属されたグループは、1クライアントをずっとやっているグループで、それまでに積み重ねたしがらみが色々ある関係で、「慣れるまで1年かかるよ」と盛んに言われたのだけど、結局その最初に手がけた案件を一人で廻すことで色々学んで、割りとすぐパフォーマンスを発揮することが出来た。
そのおかげで入社二つ目の案件で、誰もが知っている非常に大きなブランドのフルリニューアル案件のプロジェクトリーダーを任された。前の会社で普段やっていた案件規模と比べると予算規模で約100倍、ページ数でも50倍、前の会社の最大の案件と比べても予算規模で40倍とかそんな規模だった。期間も1案件のみ専業で8ヶ月という、Web製作で考えると結構大きい規模。これもすごく大変だったけど、会社近くに引っ越すとか、仕事以外のものをかなり切り捨てて仕事に集中する環境にしたら、大きなトラブルも無くローンチすることが出来た。人間やれば出来るのだ。
その後、社内の業務改善とか、ユニットリーダー、統括PM、プロデューサーとかをやりつつ最終的にはチームリーダーになって、組織的には派遣さんとか、常駐のパートナーとか含めると、自分の下に、前の会社の全員より多い人が居るような状態になった。
それなりの人数のマネジメントを経験できたのは自分的にすごく大きかった。組織運営の難しさを知ることも出来たし、組織の問題解決にずいぶん時間を使えた(使う羽目になった)のも経験になった。修羅場的なものもいくつか潜り抜け、精神的にだいぶタフになった。

この4年間は、120%で走ることをずっと求められるような4年だったのだけど、前の会社がぬる過ぎて、自分の力を注げる仕事がなかったので、そういった面でネットイヤーグループは高い要求を求められたのでやり甲斐があった。辛い事も多かったのだけど、仕事に120%徹したかった時期だったので、いろんな事を切り捨てて仕事に集中することが自分的に結構好きだったりもした。おかげでこの4年でかなり成長できた気がする。けっこうな社畜系男子だったかもしれない(笑)

しかし仕事も猛烈に忙しかった一方で、結婚もできたし、社内公募プロジェクトで自分のプランが1位通過したり(諸々事情があり実現しなかったけど)、社外勉強会のWebsig24/7でしゃべったり、本を出すことになったり(実際出るのはもう少し後です・・・)と色々充実していて、それまでの苦労がだいぶ花開いた気がする。俯瞰視点の戦略と、目の前のことを誠実に真摯に取り組むって事が大事なんだなぁと言うのがよく分かった。
こうして振り返ってみるとこの4年は充実していて、ネットイヤーグループに入ってよかったなぁ、としみじみ思う。
ただ、これ以上居て、自分が考える「自分が向かうべきところ」に近くなるかと考えたときに、そうではなくなってきてしまった。当初やりたいと考えていたことは概ね達成できてしまって、まだ学べることはたくさんあるだろうけれど、自分的にここに居てこれ以上追求したいものが殆どなくなってしまった。
ここ1年営業側に仕事の軸が移って、お客さんとべったり仕事してる中で、Webだけが問題解決の手段ではないのに、Webしか売れないことにも疑問を感じるようになってきていたし、ビジネスへの興味が以前より強くなってきていて、様々なビジネスモデルを見たり、ビジネスのアイデアや事業立ち上げに関わりたいという思いが強くなってきていた。
Webサイトの問題解決を真剣に考えたらWebサイト作りをしてるよりクライアント側の組織の問題を解決したほうがよいし、組織の問題解決を考えるならば組織を作る側に居るべきだし、組織を作る側に行くということは経営のレイヤーで関わっていかなければいけないし、そのためには自らビジネスを作り出せなければいけない。
そういう風に考え方が変わってくると、Webの受託産業はもう卒業してもいいかなと思うようになりました。このままいても、Webの受託ビジネスを改良していくことは出来ても、ビジネスを作り出せるようになれる気がしなかった。
と言うことで、脱Webの受託産業です。今後は業種を変えて、スタートアップファクトリーを標榜するハンズオン型のインキュベーター業(なのか??)に移ります。インキュベーター業というとちょっと語弊があるかもしれないのだけど、他にない業態で説明しづらいので、それは入社後おいおい報告します。
今後Webはツールとして使う形でキャリアを積んで行こうと思います。これまでお世話になった皆様、本当にありがとうございました!!

MBA事業開発マネジメント

グロービスMBA事業開発マネジメント

グロービスMBA事業開発マネジメント

グロービスMBAシリーズの新規事業開発版。アイデア、新事業戦略の定石、人材・組織作り、資金調達、マネジメントシステム、という新規事業立ち上げに必要とされる知識を体系的に書いてある。
MBAシリーズはマーケティングや人材マネジメント、アカウンティングあたりを読んでいるので、目新しかったのは新規事業のアイデアや資金調達のあたりだけだった。新規事業に必要と思われる要素をまとめてある感じなので個別の要素はちょっと薄くて、概要をつかむのにはちょうど良いけれど、全体としてちょっと物足りなかった。やはりこの手の概要をつかむ系の内容は、ケーススタディをたくさん入れたり物語り調にしたほうが面白くなるような気がする。本書もまあまあケーススタディが出てくるので参考にはなるけど、各章の内容にフォーカスしたものになっていて、事業開発全体を包含するようなケーススタディはあまり無かったのが少し残念。
ビジネスアイデアのあたりは、どうやって情報ソースを早くつかむのかとか、色々なニーズを拾うためにどういうことをしたりするのかとか、そういう泥臭いあたりが知りたかったりするけど、そのあたりは自分でがんばるしかないんだろうな。
資金調達はもっと色々知りたいなと思ったけど、そのあたりは最近話題のこの本→「起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと」でも良いんだろうな。

35歳までに読むキャリアの教科書

文庫本で久々のヒットな本。自分ができる事を「能力」、やりたい事を「動機」とし、それぞれ範囲を増やして能力と動機が交差する領域を作り、その領域の職業につく事、それをどう目指すか、というのが本書の内容。
動機の部分は仕事をする中でより明らかになってくるので、新卒の時点ではとても狭い領域でしかなく、能力については言うまでもなく新卒の時点では殆どない。それをキャリアを重ねながら双方を拡大していき交差するところまで持っていき、交差した領域の仕事を得るという流れなのだけど、自分のやりたい事、進みたい道をどう見つけるか?というのが最も難しい点だと思う。本書の中でも自分のやりたい事を見つけるためのフレームワークを紹介していて、若干苦しんで書いているなと読んでいて思ったけど、やりたい事ってどっかに転がってるわけじゃなくて、必要なのは悩む事と、自分自身を知ろうとする事と、決断する、という3つなんだと思う。
悩むこと。これは単純に考え続けること。日々降りかかってるくることだけをこなしていたら新しい発見って少なくなっちゃうから、常に悩み続けて、自分が本質的に求めていることって何だ?と思いながらアンテナを張って、チャレンジして、って事を続けることがとても大事。
自分自身を知ろうとする事。自分のことってなかなか見えにくくて、向いていること、やっていて楽しいことと、あこがれている事って結構乖離があったりする事が多い。ある意味憧れを捨てて自分を受け入れると言うことが重要かもしれない。そういう方向で如何に自分を深めていけるかが大事。
決断する。これはずっと悩み続けていても前に進まないので、ある程度悩んで登る山を決めたら、頂上に着くまでは迷わずやり続けること。どの時に決断するかってのは人それぞれで難しいけど、最初は大きな方向性、途中いくつか分かれ道での決断があるように思う。そのときは大局をみて、行くべきだったら多少自信がなくても覚悟決めて飛び込むことが必要なのだと思う。

能力の方は資質は大いにあるけれど、その上に積み重ねるキャリアは、人生の時間が有限なのでそれなりに計画的に積んでいく事が重要だというのを、本書を読んでてしみじみ思った。キャリアプランニングする事の重要性にいまさらながら気がつかされた。(これまで考えてなかったわけじゃないんだけど。。)大学生が読んで分かるか分からないけれど、就職活動のときとかにこの本読んだ本がいいんじゃないだろうか、、
とはいえ、自分の人生ってなかなか俯瞰できるわけじゃないから、今目の前にある問題に対して逃げずに取り組んでいく事が、必要なスキルを身に着けることになるし、自分の動機を深める事になるのだと思う。
さらっと読めるけど、とても良い本でした。

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

  • 作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2010/03/10
  • メディア: ハードカバー
  • 購入: 475人 クリック: 17,353回
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いま、手元に5ドルあります。2時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?
基本的には起業家志向の学生に向けた本。上記の話は一番最初に出てくるのだけど、その回答が一番本書で面白い部分。人生の戦い方が書いてある感じ。戦う気がない人は読む必要ない本だと思う。それに20歳の息子に向けて書いたというものなので、さらっと読める感じで、全体的に深く書いてあるわけじゃないけど、起業家の視点に触れるには良い本だった。
冒頭の部分以外で気になった点は、交渉をするときは相手の求めるものをまずよく知る事、という部分。交渉するときは自分の条件ばかりを押し付けてしまいがちだけど、相手の望んでいる事(要求ではない)を知れば、思わぬ解が生まれる事もあるわけで。
この方向性でもう一歩深めて、体系化したものを読んでみたいなと思った。

売れるデザインのしくみ

売れるデザインのしくみ -トーン・アンド・マナーで魅せるブランドデザイン-

売れるデザインのしくみ -トーン・アンド・マナーで魅せるブランドデザイン-

去年自主開催の勉強会を開いたのだけれど、ちょうど本書と似たようなテーマだった事もあって気になって手にとって見た本。
昔、中小企業のサイト作成をしたときに、ITリテラシーおよびデザインリテラシーが低くて苦労した事があったけど、本書を読んでいるとそれが思い出される…。個人的な経験からすると、中小企業ってデザインをどううまく使うかなんて事より、事業コンセプトとか、サービス・プロダクトのコンセプトを煮詰めたほうがいいと思うのだけど、そういうことをやってないという事の方が問題なんじゃないかと思ってしまう。
本書の中ではわりとデザインの力を過大に書いているのだけど、正直なところその企業自体に差別化できる要因が殆どないような場合って、デザインで差別化する要素がないから、デザインで出来る事は他社に劣らないようにするぐらいしかないと思う。中小企業がデザインに本質的に求めている事って殆どの場合そう言う事だったりするし。0を1にするというより、-1を0にするという感じ。
逆にもう少し大企業であれば、本書に書いてあるようなこまかいレベルの話は担当者が殆ど知る必要がない。ビジネス的なポジショニングは知っている必要があるけど、それがわかっていれば後の事は代理店とかデザイナーがやる仕事になってしまうし。
というところで、本書はちょっとデザイン偏重になりすぎているかなといった印象。むしろ駆け出しのデザイナーが本書を読んで、クライアントに説明をするときの話のストックとして使うのが良いような気がした。