売れるデザインのしくみ

売れるデザインのしくみ -トーン・アンド・マナーで魅せるブランドデザイン-

売れるデザインのしくみ -トーン・アンド・マナーで魅せるブランドデザイン-

去年自主開催の勉強会を開いたのだけれど、ちょうど本書と似たようなテーマだった事もあって気になって手にとって見た本。
昔、中小企業のサイト作成をしたときに、ITリテラシーおよびデザインリテラシーが低くて苦労した事があったけど、本書を読んでいるとそれが思い出される…。個人的な経験からすると、中小企業ってデザインをどううまく使うかなんて事より、事業コンセプトとか、サービス・プロダクトのコンセプトを煮詰めたほうがいいと思うのだけど、そういうことをやってないという事の方が問題なんじゃないかと思ってしまう。
本書の中ではわりとデザインの力を過大に書いているのだけど、正直なところその企業自体に差別化できる要因が殆どないような場合って、デザインで差別化する要素がないから、デザインで出来る事は他社に劣らないようにするぐらいしかないと思う。中小企業がデザインに本質的に求めている事って殆どの場合そう言う事だったりするし。0を1にするというより、-1を0にするという感じ。
逆にもう少し大企業であれば、本書に書いてあるようなこまかいレベルの話は担当者が殆ど知る必要がない。ビジネス的なポジショニングは知っている必要があるけど、それがわかっていれば後の事は代理店とかデザイナーがやる仕事になってしまうし。
というところで、本書はちょっとデザイン偏重になりすぎているかなといった印象。むしろ駆け出しのデザイナーが本書を読んで、クライアントに説明をするときの話のストックとして使うのが良いような気がした。