アカウント・プランニングが広告を変える
アカウント・プランニングが広告を変える―消費者をめぐる嘘と真実
- 作者: ジョンスティール,Jon Steel,丹治清子,大久保智子,牧口征弘
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2000/06
- メディア: 単行本
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クライアントのビジネスと言う観点、クリエイティブと言う観点、ターゲットの意見と偏見、この3つの観点がバランスよく反映されることがすぐっれた広告には重要だと書かれているが、ターゲットの意見をくみ上げるというのは調査の点でも、クライアントとの交渉や意思決定させる点でも、最終的に片手落ちになりがちな点だなぁというのが本書を読みながら思った。
第一章、二章は抽象度が高い話で少し退屈なのだけど、三章以降は具体例が出てくるのでかなり響いてきた。特に興味深かったのがグループインタビューの項。ユーザーテストとかグループインタビューとかWEBの世界でも予算がある案件だと取り入れることが多く、昔小さい案件しか出来なかった頃はそういう手法をつかってより精度の高いサイトが作れるプロジェクトっていいなとあこがれていたけれど、実際自分がそういう案件に関わってみると、実効性を持った形で機能するユーザーテストやグループインタビューの難しさというのが結構分かるもので。。 合意形成を得るのに便利なツールであることは否定しないけれど、実効性を得ようとするととても奥の深い世界。このあたりについてこの本は示唆に富んでいてとても参考になる。
「どのぐらいミルクを飲みますか?」という質問はコップで飲むミルクを意味するため、毎日シリアルをボウルに十七杯も食べるにもかかわらず、消費者は素直に、ミルクは飲まないと答えてしまう可能性がある
対象者はほぼ条件反射的に、立派なインテリや教養人はこう答えるものだと思われる答えを口にする。ポリティカル・コレクトネスと言う現象が調査を混乱させるのである。
ビールの調査でイギリス中を旅していた頃、グループインタビューの冒頭で必ず日常のみビールの銘柄を聞いた。
中略
マイナーな地域限定ブランドで、彼らはこれ以外はほとんど飲まないといってビール通ぶってみせた。しかし話が進むうち、そのイカしたビール1パインとの合間に安ラガーを15パインとのんでいるのがなんとなく分かることがしばしばだった。対象者の言い分は必ず市場データと比較して、裏を取らなくてはならない。
自分が保証書裏側のアンケートに答えたときのことを思い出してほしい。そう、余暇活動やメディア接触についてのアンケートだ。いつも必ず正直に答えるだろうか?
グループインタビューで様々なインサイトが得られた事例などは本書を読んでもらえれば分かるけれど、この本に書かれていることは広告だけではなくてマーケテティング的にもとても参考になるし、こういった観点は事業戦略にも生かせるんじゃないかと思った。なかなかの良書でした。
(絶版のようなのでマーケットプレイスでしか買えないようです。。)