哲学ディベート

哲学ディベート 〈倫理〉を〈論理〉する (NHKブックス)

哲学ディベート 〈倫理〉を〈論理〉する (NHKブックス)

ここ最近自分の中で「哲学」と「ディベート」の二つのジャンルに非常に関心度が高くなってて、その両方が含まれているという事で読んだ本。
ビジネスについて深く考えていくと、経営哲学だったり、商売哲学だったり、何のため、誰のためにビジネスを行うのか?という問いについて深く思考する局面に遭遇する事が多くなった。よく「価値を生み出す」とか言うけれど、価値とは何ぞや?と考えるとそれだけで結構深いもので。
少し前に出会ったファンドマネージャーの方が、東北の復興ファンドとかをソーシャルな形でやっているミュージックセキュリティーズについて、彼らがやっているのは純粋な金融か否かについて論じていて(その人の解釈では純粋金融ではないとの事だった)、面白い考え方だなと思いその人の略歴を見てみたら哲学科出身だったので哲学的思考に興味を持ったというのも結構大きかったりする。
そんなわけでこの本を手に取ったのだけれど、想像以上に面白かった。実際の事件や問題について架空の学生が討論を行う形式で進み、教授がそれをさぽーとするという形で論理的思考方法の解説だったり、ディベートフレームワークについて解説してくれるという形式で書かれている。よくあるディベート本と決定的に違うのは、ディベートの手法にフォーカス当てるのではなくて、ディベートの中身が哲学的な問いであるという点。命について、代理出産、売春、死刑、安楽死、といった個人によってどう思うかの判断軸が難しい倫理的問題について、様々な角度からの意見をディベート形式で問う形になっており、何が正しいのか?という事について改めて考えてしまった。
扱っていないる内容が結構エグイくて、さらに答えがない問ばかりなので、すっきりする本じゃ全くないけれど、物事を多面的に見るための力を養える良書でした。