Web Designing2011年12月号にインタビュー記事が載りました

内容としてはWebの受託における見積もりについての特集の中で、2Pほどインタビュー形式で見積もりについて語っています。見積もりにはいくつの考え方があると思いますが、オーソドックスな考え方と手法について語ってみました。
今回改めて受託の見積もりについて考えてみて思ったのは、受託って基本的には請負契約の形態をとっていながら、同じRFPでも価格と出来上がるものがみんなバラバラだったりするのが難しい点なんだと思います。

民法 第632条】
請負は,当事者の一方がある仕事を完成することを約し,相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって,その効力を生ずる。

請負契約という契約形態を本質的に考えていくと、「仕事の完成」という定義がまずあり、それに対して報酬を見積もる事になるので、「仕事の完成」が定量的に量れるような形で測定できる事が望ましいということが言えます。それは「完成」したかがどうかが明確に測定できなければ、報酬がもらえない可能性が高くなるからです。
つまり、RFPの時点で仕事の完成が明確になっている事が本来的には非常に重要で、しかもその完成の定義が人によって異ならない方が良いともいえると思います。
しかし実際にはRFP提出後に発注側、制作側双方で話し合いがあり、完成の定義が提案などにより変更されていき、両者の頭の中でなんとなくイメージされ、言語化されないような状態で契約が交わされることになるのだと思います。
価格の差というのは、それぞれの制作者の生産性の部分だけでなく、そもそも完成の定義を変えている部分に関しても見積もられているため発生している、という点がこの問題を難解にしているのだと思います。たとえばグローバルナビゲーションを作るときに画像を貼り付けるだけなのか、JSを使ってロールオーバーにするのか、プルダウン形式にするのかなどといった部分は、完成の定義を提案により変えてしまっている部分といえるでしょう。
たとえばこういった提案の余地がまったく無いRFPだった場合、基本的には作業スピードや、作業する人員の時間単価などによって価格が算出されることになるため、自給が安くて手の早い人が有利になります。この部分は非常に単純な計算ロジックになるはずです。難しいのは提案部分の価格付けです。ここは相手により、価値観が違ってくるのと、競合がどの様な提案をどの様な価格でしてくるかが見えないので悩むことになるのだと思います。この2点(生産性と提案などの付加価値)を分けて考えると、請負の場合の見積もりの仕方が少しクリアになるのかなと思いました。
※誌面ではもう少しベーシックな見積もり時に考えるべきことについて語ってます。