Ex-formation

Ex‐formation 四万十川

Ex‐formation 四万十川

原研哉さんの武美のゼミの卒業制作をまとめた本。情報が高密度に行きかう昨今だけれど、情報が高密度でも会話は話し手が事実を述べると受けては「知っている知ってる」で思考が停止してしまい、会話も次の話題に移ってしまう。そんな生の体験なしの情報を交換するだけって何の意味があるの?「知ってる知ってる」と繰り返す事に何の意味があるの?ってな問いかけから、逆に自分達は知っていると思っている事はもっと知らないのではないか?というような内容。知らないという事をわからせようという「未知化」を如何にデザインするかというアプローチで四万十川に迫ったもの。研究一つ一つは学生の卒業制作なのでちょっと稚拙なのはしょうがないのかもしれないけれど、未知化するというアプローチは誰が誰に向かってやってる事なのかがいまいち提示されていないまま研究に入ってるような印象もあり、面白いんだけれど、何がしたいのかの焦点が少しぼやけているような。あと少し理屈が強すぎて(最初に理屈ありきな感じというか)、現場感が弱いようにも感じた。
ただ未知化という観点を抜きにすれば、単純に面白いなぁという研究もあって、それを読んでると四万十川に行ってみたいなぁと思ったりするわけで。それでいいんじゃないの?という気もしたり・・・。