決断の本質

決断の本質 プロセス志向の意思決定マネジメント (ウォートン経営戦略シリーズ)

決断の本質 プロセス志向の意思決定マネジメント (ウォートン経営戦略シリーズ)

組織の意思決定について、その組織の力を最大限生かすためにはどのような意思決定プロセスをすべきかということを体系的に書いた本。
本書のポイントは、意思決定の成功の定義を「高い成果を出す事」としておらず、「質の高い意思決定がされ、決定された行動方針を高い精度で実行した事」と定義しているところにある。
成果とは結果論でしかない、という前提において書かれているのが目から鱗ポイント。結果はコントロールできないという前提で、どうすれば成果をプラス方向高めることができるか?というアプローチになっている。
結果はプロジェクトを進める中で起こる様々な不確実性の高い要素によって変わってくる。つまり、結果 = 質の高い意思決定×高い実効性×不確実性、という事。この公式の中でコントロールできるポイントは「質の高い意思決定」と「高い実効性」だ。

ただ単に合意形成を行うのではなく、どの様な人員構成やプロセスを踏めば質の高い意思決定が出来るのかという事が本書には書かれている。また意思決定だけではなく、その決定を推進をしていく関係者をいかに巻き込みコンセンサスを形成するかが、重要であると説く。

よくあるのが、理屈として正しいし、個別の意見を聞いていたらまとまらないから、という事で推進メンバーを議論に参加させずに物事を決めてしまうが、その決定が推進されずに頓挫する、というようなこと。

コンセンサスとは、全員一致、または意思決定のすべての点に対する広範な同意、あるいは組織のメンバーの過半数による完全な承認という意味ではない。意思決定をするのがリーダーではなくチームだという意味でもない。
人々がその決定の実行に同意して協力するという事がコンセンサスの意味である

上記に引用した「コンセンサス」というものの認識が、このように捉えられている事は少ないように思う。しかし本書で書かれているような意味で「コンセンサス」を捉えなおすとだいぶやるべき事が変わってくるのではないだろうか。