スポーツの汀(なぎさ)

スポーツの汀

スポーツの汀

「スポーツと政治を結びつけて考えるべきでないとする人がいるが、それは近代スポーツの出自に対してあまりにも無理解だ。」というようなくだりがあったのだけれど、ちょっと納得。先日の北朝鮮戦のときに一般のメディアが政治と絡めてサッカーを報道する事に対して大抵のサッカーファンはサッカーは政治とは無関係で、サッカーは「サッカー」でありゲームなんだというような反発を示していたけれど、そのような反発をすること自体が既に政治に取り込まれている事なのではないか?、とかこの本を読んで思った。スポーツってのは敵と見方に分かれて、サッカーならば90分間かけて勝ち負け、引き分けと言った勝敗のプロセスとその結果を見せ付け、敵を介して自分達(日本)と他者との境界を意識せざる得ない空間で有ると思う。ピッチ上に90分間せめぎ合う国境を見ているのではないかと・・・。
そんな事を考えさせられた一冊。思想家が書く文章は癖があって難解だけれど、この今福龍太という人の切り口は面白い。