分業化の弊害

一個前のエントリの話(ポリバレント)の続き。
WEBの世界の歴史としては、初期のころは一人で何でもやっていた時代からディレクターと制作者の分業化、そしてディレクターも役割によってCD、PM、PDM、IA、AD、SEという分業化まで進んだ感じが現在だろうか。会社や規模によってそれぞれのカバーエリアが微妙に違うとは思うのだけど、これにさらに制作系の人たちとしてデザイナー、コーダー、プログラマ、アシスタント、チェッカー、イラストレーター、ライター、フォトグラファーなどがいて、非常に細かく役割が細分化されていて、組織としても制作は一切持たなかったり、逆に制作しかやらなかったり、ひとつの会社で完結しない体制になっている。その為一昔前と違って色々なスキルを仕事をしながら覚えていくという環境自体がなく、ひとつのポジションで次から次えと工場的に仕事が振ってくるため、コーダーならコーディングばかりしているというような環境になってしまっているような気がする。
仕事をなるべく限定的な範囲に絞ることで得られるメリットとしては、習熟が早く専門性が高めやすい事にあると思うのだが、デメリットとしては前後の工程の入出力フォーマットが標準化されていないとコミュニケーションコストが高くついてしまう。
WEB業界の受託の仕事って完全なオーダーメイドで、なかなか標準化がしづらい世界なので前工程に戻ることが頻発するためコミュニケーションコストが多大になってしまう事が多い。
戦略や設計の段階は少人数で、制作の初期は分業することでボリュームの分散化をはかり、製作の後期はなるべく人を絞ってスピード感をもってクライアントとのやり取りが出来る体制とするというのが理想かなと最近思う。
これを実現しようとするとポリバレントな人材が必要になってくる。プロジェクトのフェーズによって役割がシフトしつつ、プロジェクトに最初から最後までずっと付いている人をなるべく多くすることでコミュニケーションコストを削減し、効率をよくするという形。PMはずっと張り付きだからいいとして、例えばADが本業で、提案書作成アシスタント>IA>ADとか出来たりするといいなとか。
やろうと思うと教育でつまづくのだと思うのだけど、こういう組織って作れないものなのかな…。